うちの魔王さん

1/7
前へ
/7ページ
次へ
 ユウマは、祖母に「ただいま」を言うと、すぐに二階の自室に籠もった。  ランドセルを下ろすなり向かったテレビには、ゲーム画面が映っている。  画面はドットで(えが)かれ、レトロなBGMが流れている。家庭用ゲーム機が読み込むソフトはカセット型で、機体も合わせてかなりの年代物だ。  数十年前に作られたその世界には、魔王が君臨している。ユウマは、今まさにその魔王と対峙しているところだった。  赤い目を向け、魔王は言う。 『おかえり』  画面の下部に出た青いウインドウに、彼の言葉が白文字で表示された。  ユウマは、それに声で答える。 「ただいま。魔王さん」  魔王からも、青いウインドウで自分の言葉が表示されているのだろうかと、そんなことを考えながら。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加