留守番電話

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留守番電話

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 『その代わりちゃんと世話をするんだぞ?拾ったって事はソイツの"人生"……いや、"猫生"?全てをお前が引き受ける事になるんだからな?』 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ふと悟史の言葉を思い出す。 「お前が居てくれてよかったよ。サトシ……」 ふとその先の留守番電話のボタンがチカチカ点灯している事に気付き何気に押す。 『留守番電話は3件です』 ピー…… 『6月11日。13:20分です。俺、弘明。心配して携帯にかけたけど電源が入っていないのでこちらにかけました。また電話します』 ピー…… 『6月11日。15:56分です。弘明。まだ戻ってないのか?心配です。1度携帯に連絡下さい』 ピー…… 遥はネクタイを緩め、ソファに寝転んだ。 『6月11日。17:23分です。俺……。もしかして俺が言った事……怒ってるのか?……あれは本当の事だ。お前が好きだ。俺じゃだめなのか?悟史の代わりにはなれないのか?……メッセージは以上です』 「もう……止めてくれ。俺はまだそんな事……考えられない。悟史が居なくなった事だって信じられないのに……」 するとピンポーンとインターホンが鳴り、遥は重い体を起こして覗き穴を覗いた。 「弘……明」 戸惑いながらも玄関の鍵を開けた。 「やっぱり居たんだ?」 弘明は苦笑する。 「今帰って来たところ。留守電……聴いた」 「だったら何でここに来たか分かる……よな?」 「え?」 「俺のものになってくれよ、遥」 弘明は玄関の中に入ってきた。 「弘明……」 「お前1人にしといたら……マジにアイツの所へ行っちまう気がして」 下を向いていた弘明の目がクッと遥を見た。 「その前に俺のものに……する」 そう言うと靴を脱ぎ遥にしがみついてきた。 【お酒臭い……】 「や……止めて。弘明」 2人は縺れ合いながらその場に倒れた。 「遥……っ」 「止め……て。や……だ。弘明、お願い」 遥の唇に唇を押し付けるが遥はギュゥゥと口を噤んで舌の侵入を拒んだ。ビッとシャツのボタンが弾け飛び、遥の白い肌が弘明の前に現れる。 「好きだ。遥」 「嫌……い。こんな弘明、嫌いだっ」 必死にもがいて逃げようとする遥の傍にリビングからサトシが歩いてきた。 「サト……シ」 遥の言葉に弘明の手が止まった。サトシが遥の顔をペロペロ舐める。 「サトシ……だって?」 遥は弘明の手を振り払うと起き上がってシャツの前をギュッと手で閉じた。 「帰って……弘明」 遥はサトシを抱く。弘明は拒まれたショックにフラフラと立ち上がりその場を立ち去った。
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