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悪夢
「ありがとう、サトシ。お前のおかげで……助かった」
遥はそう言うとサトシにキスをする。
「お前が本当に悟史だったらいいのに……」
シャワーを浴びてスウェットに着替える。食欲は……あるわけない。そのままサトシを抱いて寝室へ向かった。
あの事故以来まともに眠れていなかった。1人には広すぎるベッド。
サトシをそっと置くとドサッと寝転がった。
「疲れた……」
ここで悟史と毎晩のように抱き合った。
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『あっ……』
『遥……』
遥の瞼に優しくキスをして深く挿入すると遥はフルフルと身を震わせる。
『あ……んあっ。悟史。悟史』
『愛してるよ、遥……』
そう言うと遥の唇に噛み付くようにキスをした。
『んっ……はぁ……』
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「悟史……」
遥は悟史を思い出し、スウェットに手を忍ばせると疼く体を自分の手で慰めた。
「う……、はぁ。悟史」
前を手で扱きながら中指を唾液で濡らしてその場所に入れる。悟史の愛撫はこんな感じ。そしていつもこうしてそして……
思い出しながら手を動かした。
「う……、あ……」
掌に欲望を吐き出した。
【全然……物足りない。悟史でなきゃ物足りないよ】
机の上に飾られた、2人で寄り添い微笑む写真立てに視線を移す。
「悟史……帰ってきて?お願い。もう一度俺を抱いてよ」
遥はベッドの上で丸くなり1人寂しく眠った。
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『遥……』
遥が聞き慣れた声に振り返るとそこにはにっこりと微笑む悟史が居た。
『悟史?……戻ってきてくれたんだね?』
遥は悟史に向かって歩き出す。
『遥……』
笑顔だった悟史の表情がみるみる暗くなる。
『……悟史?』
遥がふと立ち止まった。
キキキキィーっという車のブレーキ音と共に悟史が遥に向かって走り出す。
『遥っ、危ないっ』
『だめっ。こっちへ来ないで。悟史、来ちゃダメだ。悟史っ』
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「悟史っ!」
遥はガバッとベッドから起き上がるとハァハァハァと息を吐き、両手で顔を覆った。
「夢……か。酷い夢……だ」
シャワーを浴びたというのに、首元は汗でビッチョリ濡れている。
壁掛け時計を見ると6時。
遥の叫び声に目を覚まし、二ー二ーとサトシが擦り寄ってきた。
「ごめん。ビックリしたよね?」
サトシの体を撫でてやる。
【どんなに辛くてどんなに眠れ無くても必ず新しい朝がやってくるんだ】
「今日から仕事……行かなきゃ」
【頑張らなきゃ】
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