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違うクラスの愛美が、勇人と親しくなるのは、不可能に近い。3学期は行事も少なく、同じ学校の同じ学年でも、勇人の姿を見ない日もあるほどに。
『この恋は、絶対かなわないんだ』
愛美が絶望したまま5年生を修了し、6年に進級すると、運命の神様は、愛美に微笑んだ。
愛美は、初めて勇人と同じクラスになった。さらに、親友の友香とも、2年連続同じクラス。愛美は、運命の神様に、毎日お祈りするほど感謝した。
毎日学校に行くだけで、勇人を見られる。運が良ければ、少しだけ話も出来る。それは、愛美にとって、天にも昇るほど幸せな毎日だった。
勇人と会えない長い夏休みが終わると、愛美は、勇人とただのクラスメートでいることに、不満を感じるようになっていた。
せめて、お友達になって、一緒に遊びに行けるようになりたい!
そう願いながらも、内気な愛美は、勇人と仲良くなる方法が分からない。困った愛美は、いつも頼りにしている親友の友香に相談した。
「じゃあさ、効き目があるって言う恋のおまじないでも、やってみる?」
「やるやる! なんでもやってみる!」
友香の提案に、愛美は小さくこぶしを作り、前のめりで答えた。
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