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友香が愛美に教えたおまじないは、3つ。
1つ目は、二人の距離が縮まるおまじない。
白い紙に赤いペンで二人の名前を並べて書く。それを小さくちぎり、半分は自分で持っていて、もう半分は、相手に渡す。直接渡せない場合は、相手の机やカバンに入れておいてもOK。
1日1枚、毎日続けると想いがつのって叶いやすくなると聞いて、愛美は毎日、勇人の手提げカバンに、小さくちぎった紙の半分を入れた。
2つ目は、あなたを見ている人がいることを伝えるおまじない。
誰にも見つからないように、相手の机に、赤いペンで顔を描く。『あなただけを見てる』て意味で、顔は小さくて構わないけれど、相手をよく見える位置に描かないといけない。
愛美は、勇人の机の真ん中に、小さく顔を描いた。だけど勇人は、それをいたずら書きだと思い、消しゴムで消してしまった。消されると、おまじないの効果も消えてしまう。愛美は再び、顔を描く。勇人はまた、いたずら書きだと思って消す。
それを、毎日のように繰り返すため、勇人の消しゴムはすごい勢いでなくなって、少し困っていたことを、愛美は知らない。
3つ目は、一番効き目があると言う、眼力のおまじない。
離れた場所から想いを込めて、相手をじっと見る。相手がこっちを向いたら、すぐに目をそらし、決して目を合わせないようにする。
勇人と少しでも近付きたい愛美にとって、それは辛いおまじないだった。それでも、その辛い気持ちも、彼への想いも全てを視線に乗せるつもりで、愛美は勇人を離れた所から、見つめ続けた。
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