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おまじないの効果も出ないまま、冬休みになって、三学期になった。卒業を控えた愛美達6年生に、小学校の行事はもうない。けれど2月は、恋する女子にとって、大きなイベントがあった。
1年以上片想いを続けた愛美は、バレンタインで直接想いを伝えるため、チョコレートを手作りする決心をした。
「でも、ほとんどしゃべったことないし、受け取ってもらえるかな……」
「なに言ってんの。なんのために、今までおまじないをがんばってきたと思ってんの?」
バレンタインが近づくにつれ弱気になる愛美を友香が励ますと、愛美の顔は、途端に明るくなった。
「あ、そっか! そうだよね!」
バレンタインは、今までの恋のおまじないの集大成。
チョコに添えるメッセージカードは、おまじないと同じイメージの、白いカードに赤いペンで文字を書く。ラッピングの箱にも、机に描いていたのと同じ顔を描いて、チョコレートの送り主がおまじないをしていた人と同一人物だと、さりげなく伝える。
そして当日、今までのおまじないの効力を強める工夫。
1つだけ描いていた机の顔を、出来るだけたくさん描く。1日1枚限定の、白い紙に2人の名前を書くおまじないは、大きな画用紙を使って、たくさんの紙くずを作って、より想いを強くする。
あらゆる方法で、愛美の気持ちが本気であることを、勇人に強くアピールすることを、友香は提案した。
友香の提案を聞いて、愛美はその全てを実行した。
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