旅立ちまで

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結局、術の使い方は分からないまま10歳になった。相変わらずお父さんは狩りで捕まえてきた獣を見せびらかすしお母さんは死んだ目をしてそれを捌く。しかし、術の使い方は分からないが、背が高くなって読める本が増えてこの世界の事がだんだん理解出来る様になった。この世界には魔王が居るらしい、だが 破壊の限りを尽くすとか系では無くて、土地を奪って緑を生やすとか何とからしい。それで魔王は非殺傷主義らしいのだが、過激派とか呼ばれている連中は殺害しか興味が無いらしく、あちこちで暴れ回ってるという訳だ。 つまり魔王より過激派の討伐が優先となる あとエルフとか竜人とかもいるらしい…… ちょっとわくわくする年甲斐も無く 「おーい、エセ」 外からお父さんの声が聞こえた 「ちょっと来いよー」 「わかったー今いくー」 僕は外に出る 出てみると何時にも増してお父さんは真剣な目をしていた 「喜べ、待望の術についてだぞ。が、その前に」 「一つ大事な事を教えておこう」 その腕には鉄の様な見た目をしたリンゴぐらいの直径のリングがぶら下げられてた。何をするかと思えばお父さんはリングを右手で持ち、その腕を前に出して 「展開 ピッシー 」 と唱える。魔法陣が現れて数秒後、僕の後ろで何か落ちる音がした 振り替えるとそこには一匹の鳥が倒れていた 「そいつは今死んだ。俺の手でな」 汗一つ垂らさず、お父さんは一本の剣と腕のリングを僕の足元に置いた 「これが術だ。術とは凶器なんだよ。そいつがあればその鳥みたいに人なんざ何人でも殺せるさ」 「もちろん、剣もまた凶器さ。さて」 「お前は最初にどちらを選ぶ?」 笑っていた。悪意等は微塵も感じらない。 瞳だけを真っ直ぐに見、僕の行動を楽しんでいる そして、僕はリングを手に取った。理由はシンプルで"楽そうだから" 「お、そっちか。そいつは実を言えば無くても展開は出来るんだ。だけど照準が定めにくいんで補助具として使ってるのさ」 いつの間にかお父さんが後ろに居た 「まずは息を良く吸え。魔力の巡りが良くなる」 「そして、どちらかの手でこいつを握り」 「手を前に伸ばす」 言われた通りにやってみた。確かになんか昇ってくる様な感覚だ 「そして、頭の中で唱えたい術をイメージしながらさっき言ったみたいに詠唱する」 唱えたい術のイメージ……赤の……赤………赤色…… 「展開 !えっと……赤の1番 」 すると、目の前に突然夕日の様に真っ赤な色をした直径1メートルぐらいある魔法陣が出現した。そして、魔法陣から炎が解き放たれた ライターぐらいな小さな炎だけど…… 「あ、あれえ………」 「まあ最初ならこんなもんだろ」 頭の中でステータスボードを見てみたら MP 58/31 となっていた 「後お前、何かもう一つ術を覚えてんだろ? 見せてみろよ」 もう一つて桃色の事!?あれはまだどんな術何だか分かって無いのに〜 <獲得しました 青1 > あ、良かった。これを発動しようって……青って何!? 「こっちに向かって撃って見ろよ〜大丈夫、お前は俺を傷つけたりしないから」 ああ、もういい!やれば分かる! 「展開! 青の1番 」 今度は青の魔法陣で、直径はメロンぐらい。 何が飛んで行くかと思えば添加物がたっぷり入ったサイダーみたいな光がお父さんをすり抜けて行った 「あ、あれ……?何なのこれ?」 「は………」 「あーーっはっはっはっ!お前、おもしれえなあ!そいつはキャリーミーって言ってなあ 生物を冷静に戻す役割があんだ。お陰で頭冷やされたよ」 キャリーミー……あ、お母さんが使ってた奴だ。そうだったんだ 「そんな面白い子にはこんなものをお見せしようかな。展開 シィン シカニファード 」 唱えたお父さんの手から出たのは 透き通ったシャボン玉だった 「まあ全く役に立たないんだがなこれ」 「役に立たない術……まさかあれ書いたのお父さん!?」 「あ、ああ……若い頃に小金稼ぎでな」 シャボン玉を通して、お父さんの照れた顔が 見えた。満更でも無さそうな笑顔だ 「と、とにかく!これから有意義に術を使えよ。応援してるからな」 「うん!」 ふわふわと浮かぶシャボン玉の前では桃色ってどんな術?とは聞けなかった
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