3滴目 先生の追憶編

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--------先生side-------- 僕と蓮は、1歳違いの兄弟。両親の愛情は平等に貰っていたと思います。幼い時は、僕は病弱で大人しく、蓮はいつも元気で活発でした。はっきり言って僕は蓮が羨ましかった。影で本を読んでいる僕に対して、蓮は公園で思いっきり走り回れる。いつの日か、僕は彼奴に嫉妬していました。 僕が中学3年の時、両親が殺されました。 「…ただいま。っ…、父、さん、母さ、ん…」 濃厚な血の匂いは、鮮明に覚えています。そして、変わり果てた両親の姿も。真っ先に、警察へ連絡。駆けつけたその場で、殺人事件と断定されました。未だに未解決ですが…。親族は、蓮のみ。携帯に連絡するも、既に解約されていて、近所や、学校にも行きましたが既に下校。完全に手段は断たれました。 これらの事から、僕は蓮が犯人だと考えました。だっておかしいでしょう。両親が殺された日に、携帯を解約。家にも帰らず音信不通。ただの家出ならそこまでしないでしょう。それから、僕はあの事件を追っていました。それは今も変わらない。何度もあの日の新聞を見て、泣きましたよ。 僕がこの界隈に入って5年後に、彼奴は戻ってきた。僕が20歳、蓮が19歳の事です。まだ、先代の首領が居たので、僕は幹部。彼奴も幹部でした。 「久しぶりだね、兄さん」 「っく!!」 その時初めて、家族に手を出した。思いっきり殴りつけても、彼奴はヘラヘラしていました。 「いったいな〜。感動の再開なのにさ」 「感動も何も無い!!父さんと母さんが死んだ日、おまえは何処に居たんだ!!」 「え〜、教えたくないなぁ〜」 「お前が殺ったのか…?」 「さぁ、どうだろね〜。抑々、俺が親を殺るメリットって何?解んないんだけど」 「あの頃、お前は良く父さん達に反抗してただろう。反抗の一環として、殺ったとしたらどうだ」 「フヘヘ、面白い考えだね兄さん。でも、俺だって殺し屋の一員。そんなヤワな考えだけだったら無理だって。と言うかさ〜、いい加減、死んでくれない?」 そう言うと、蓮は銃口を突きつけて来たんです。その反射で、僕もナイフを突きつけました。 「僕が死ぬメリットは何処にある?」 「俺にとっては、色々あり過ぎて解んないな〜」 「だったら、僕もお前を殺す。父さんと母さんの仇だ」 「まだ、俺が殺ったとは言ってないでしょ?まぁ、良いや!殺り合い楽しみだね〜」 その瞬間から、"兄弟"ではなく敵同士に変わった。 「あぁ、楽しみですね〜。………死ね」 ナイフと銃の一騎打ちが始まった。
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