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「そんな、事が…」
「えぇ、まぁ、一騎打ちの決着が着いてないから生きているんですけどね。仮にも兄弟だった関係なので、ここは兄の手で弟を葬りますよ」
「…………」
何も、言えなかった。真犯人は解ってないにしても、先生と蓮くんの関係を壊したのは、あの事件。決着が着いてしまう前に、犯人を見つけ出さないと。私は先生の後ろに行って、ぎゅっと抱き締めた。
「……過去は変えられません。でも、私は貴方の力になりたいから。ずっと…、ずっと傍に居ます。先生」
「っ!」
「見つけましょう、真犯人を」
先生が私の指をぎゅっとする。
「…………ありがとう、瑠衣……ありがとう…」
先生の涙が、私の手の甲に零れる。それは純粋で、透明で、綺麗だった。
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「何?彼奴らデキてるわけ?ふーん……、まぁ、最後にあの女を奪うのは俺だよ。"高く売れる"しね〜」
双眼鏡で、彼奴の執務室を覗く。見せつけてんじゃねぇよ全く…。彼奴は殺るにしても、あの女は生きて連れてくからな。覚悟しろよ……兄さん。
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コンコン…
ノックがして、慌てて先生から腕を離す。心做しか、先生の顔が紅くなっている。……照れた?
「真、なんか招待状来てるぞ」
夜野さんが入ってきて、白い封筒を先生に渡した。
「ほう、なるほど……。"仮面舞踏会"。面白そうですね〜。おっと、これは……闇オークションの招待状でもあるんですか。"お楽しみ"の時間ですね……」
先生は妖しい微笑みを私達に返した。
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