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昔 見たアニメーション映画。
『美女と野獣』
野獣の城に住めたら と子供ながらに思った
それは真実の愛がどうとか
王子さまと結婚とか
そんな馬鹿げた話はどうでもよくて、主人公の少女にプレゼントとして野獣が見せた図書室。
天井まで壁一面に収まったあの本棚。
長い梯子を椅子がわりに一日中 本を読んでいたとして、全て読むのに一体何年かかるだろう…
あれは私の夢の城だった。
筆記用具を片付け、図書館を出る。
春には少々早い夜風は中学から使い続けている首もとのマフラーを上げて凌いだ。
自動ドアを抜けると大きな銀杏の木が葉を落とした腕を空に広げている。
秋には一面を黄金色にに染めるこの木も冬はどこか寂しげだ。
図書館から銀杏の並木道を通り、駅へと向かう。電車は乗らない。駐輪場へと向かう通りで何やら人だかりが出来ていた。
路上ミュージシャンという奴らしい。
駅の前の喧騒にギターの音と歌声が混じってる。それを通りすぎ一人暗い駐輪場の階段を下りると敷き詰められた自転車から自分の物を取り出し家へと帰った。
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