第2話 誕生日会

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モブにしては存在感のありすぎる顔立ち。 しかし、派手すぎない身なりから、 裕翔は思った。 資料にもジクスの記憶にもないこの少年は… であることに。 あえてプレイヤーの想像を増幅させるために、わざと主人公の絵を出さないゲームも多い。 これもその一つだ。主人公が男なだけあって、設定も難しかったらしく、プレイヤーへの想像力が試されるゲームでもあった。 だが、その分外見を各々の好みにできる特権があるゲームのようだ。 しかし、こうも情報量が逆に少ないと不安で仕方がない。 主人公の父親らしき貴族が帽子を脱ぎ、話を始める。 「ご挨拶遅くなり申し訳ございません。先程到着致しましたので、一目見るだけでもと思いまして。」 裕翔は驚いた。 わざわざ挨拶のためだけに、この会場に来る貴族がいることに対してだ。 ほかの貴族は、食事やダンスがしたくて、ほとんどがそれが目的な貴族ばかりいると思っていたからだ。 「こちらが私の息子 でございます。」 恥ずかしがりながらも、もぞもぞとお辞儀をする。 「は、初めまして王女様。アレス・ヘンリーと申しますぅ…」 その初々しさに少し微笑み頷く裕翔。 それほどの魅力がアレスにあることを痛感させられる。 さすがは主人公。 軽く会釈をし、帰る2人を見送った。 会場の清掃が終わり、馬車に乗った。 気慣れていないドレスを着て過ごしたため、 ドレスに着られている状態になっていた。 向かいにはレオンが座っているが、こちらをむく気配はなく、ずっと外を眺めていた。 その目は少し疲れているように見えた。 恐る恐る声をかけた。
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