第1話 転生

3/5

40人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
その部屋からは苦しそうな息遣いが聞こえてきた。 見ると、汗だくな少女がベッドに横になって、王妃が少女の手を握っていた。 「大丈夫だから…大丈夫よダイアナ。だからしっかりね…」 涙声で訴えるように静かに声をかける王妃。 王は真っ青になった顔で、メイドや執事らしき人に変えのタオルを持ってくるように言っていた。 その表情は、先程見た微笑みとは真逆の焦りや苦しみが見えた。 一体何が起こっているのか分からなかった。 だが、唯一わかったのは、ベッドで横になっている少女が自分の姉。 ダイアナ王女であることだった。 「ダイアナ様が…流行病にかかってしまったのです。先程ピアノのお稽古中にお倒れになられて…お医者様をお呼びしたら伝染病だと。」 裕翔を連れてきた執事が説明をする。 皆が慌てふためく理由が分かり、一気にジクスとしての、ダイアナと楽しそうに遊ぶ記憶が蘇ってきた。 その途端、不思議と涙が頬を伝った。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加