39人が本棚に入れています
本棚に追加
まだこの世界のことを資料でしか理解していないはずの裕翔も、息苦しそうにするダイアナをじっと見つめていた。
苦しそうにするダイアナが、うっすらと目を開き、手を握っていた王妃になにか言おうとしていた。
それを見た周りのメイドや執事は動くのをやめ、ダイアナの言葉に耳を澄ませた。
「…ま。…たし…」
「ダイアナ!!大丈夫よ!もうすぐお医者様が…」
涙声の王妃が、ダイアナの手を両手で握った。
しかし、ダイアナがゆっくり首を振り、少し息苦しそうに言う。
「…母様。私…もう…無理…そ…」
「駄目よダイアナ!!あなたは幸せに…」
優しく微笑んだダイアナは、
「…ありがとう。…私。…充分幸せだった。」
そう言うと、ダイアナは静かに目を閉じた。
「…ダイアナ?ダイアナ!?」
王妃がダイアナの肩を揺らす。
しかし、ダイアナは幸せそうな顔で眠ったままだった。
ダイアナの死を、悲しんだ。
「…なんということでしょう。明日はダイアナの10の誕生日でしたのに。」
涙を拭いながら、怒りすら感じさせる声を王妃は発した。
裕翔は静かに王妃を見ていると、ダイアナの設定のようなものが頭に流れてきた。
それを見た裕翔は、周りがスローモーションになるのを感じた。
ダイアナ・クロスフォード 第一王女
主人公をいじめる悪役令嬢
しかし、その正体は第二王子 ジクス・クロスフォード
執事に促され部屋を出た裕翔は、部屋に戻り状況を整理した。
最初のコメントを投稿しよう!