39人が本棚に入れています
本棚に追加
流行病で死んだ裕翔は、姉がしていたゲームの世界に転生したということ。
転生した第二王子 ジクスは、幼少期から流行病で亡くなった第一王女ダイアナとして生きている。
婚約話が立たないように無愛想に接しているため悪役令嬢としての役割を果たしていた。
とある瞬間主人公に男だということがバレる。
弱みを握られると思っていたが、主人公の優しさから仲良くなるというエンドを迎える。
至って悪役令嬢としては平和に終わることの出来るストーリーだが…最大の問題はこのゲームが
乙女ゲームなのに主人公が男設定の間違ったゲームとして大炎上した超絶クソゲーであること。
ただでさえしたことがない乙女ゲームであるうえで、設定が重すぎるキャラとして生きることに希望が持てなかった。
謎に多い情報が、頭に刻み込まれていた。
しかし、ひとつ疑問があった。
刻み込まれた攻略本のような情報に謎の文字が書かれていた。
「なんだかよく分からないな…姉さんがブツブツ言いながらプレイしてたのは見たことあるけど。詳しい内容はよく知らないし。」
考えていると、部屋をノックする音が聞こえた。
「ジクス…少しいいかしら?」
王妃の声だった。
必死にジクスの記憶を漁り、口調を真似るように、応えた。
「いいよ。」
ドアが開く音が聞こえ、王妃が近づいてくる。
「ジクス。落ち着いて聞いてちょうだい。これは大事なことなの。」
王妃の前置きを聞いて、何を話されるのか大方予想がついた。
王妃が裕翔の目を見つめ、優しく問いかける。
「あなたは今日から第一王女のダイアナとして生きるのよ。明日のお誕生日会から、貴方はダイアナ・クロスフォードとして、一生を遂げるの。大丈夫。何も心配することは無いわ。」
なだめるようにそう言う王妃の目には悲しみの感情が込められていた。
何故、ダイアナのフリをしなければならないのか疑問に思ったが、兄がいることを思い出し、継承者争いを防ぐためでもあるんだろうと納得した。
「…わかった。でも、1つ条件があるんだけど。」
「なに?なんでも言ってちょうだい?」
裕翔はこの先のことを考え、条件を提示する。
「僕は女性の礼法がわかってない。だから、僕が姉様として生きる上で必要だと思う願いは全て聞き入れて。」
少し傲慢な意見だったが、王妃は大きく頷き、
「わかったわ。ありがとう。ジクス。」
そう言うと、王妃は裕翔の手を握り、しばらくした後部屋を出ていった。
最初のコメントを投稿しよう!