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第一話❄️あなたに忘れられても
『えっと、
君は僕の知り合いかい?』
目を覚ました彼の口から
発せられた言葉は
私の胸の内を抉りました……
『えぇ、同僚兼友人ですよ』
どうにか、笑顔を作り
そう応えるのが精一杯でした。
本当なら、“恋人”でもあります。
それに、何時もの彼なら
私の笑顔が作り笑いだと
直ぐに見抜いていたでしょね。
『そうなのかい?
友人を忘れるなんて……ごめんよ
名前を聞いてもいいかな?』
彼にしてみれば
初対面同然ですもんね(苦笑)
『いえ……
雲雀瑠色と申します。
あなたと同じ職場で
日本史の教師をしています』
『◆◆高校の教師なんだね』
職場はちゃんと覚えていますね。
『そうです。
年が近いこともあり仲よくさせて
いただいてたのですが
私のことだけを忘れて
しまわれてしまったようなのです(苦笑)』
いくつか、質問をしましたが
基本的なことは覚えているようです。
忘れているのは
私に関してだけ……
今度は作り笑いではなく
本当の苦笑をして言いました。
『ナースコール押しますね』
無理やり、話を変えました。
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あの後、どうやって
帰宅したのか覚えていません。
こんな状態では仕事に行けないですね。
今日は休ませていただきましょう。
体調不良ということで休みました。
『茉生』
“恋人”だった時のことが
走馬灯のように駆け巡りました。
食べる気が起きず
コーヒーだけ飲み、
後はずっと寝室にいました。
“恋人”として愛しています。
例え、あなたに忘れられても……
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