第一話❄️あなたに忘れられても

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第一話❄️あなたに忘れられても

『えっと、 君は僕の知り合いかい?』 目を覚ました彼の口から 発せられた言葉は 私の胸の内を抉りました…… 『えぇ、同僚兼友人ですよ』 どうにか、笑顔を作り そう応えるのが精一杯でした。 本当なら、“恋人”でもあります。 それに、何時もの彼なら 私の笑顔が作り笑いだと 直ぐに見抜いていたでしょね。 『そうなのかい? 友人を忘れるなんて……ごめんよ 名前を聞いてもいいかな?』 彼にしてみれば 初対面同然ですもんね(苦笑) 『いえ…… 雲雀瑠色と申します。 あなたと同じ職場で 日本史の教師をしています』 『◆◆高校の教師なんだね』 職場はちゃんと覚えていますね。 『そうです。 年が近いこともあり仲よくさせて いただいてたのですが 私のことだけを忘れて しまわれてしまったようなのです(苦笑)』 いくつか、質問をしましたが 基本的なことは覚えているようです。 忘れているのは 私に関してだけ…… 今度は作り笑いではなく 本当の苦笑をして言いました。 『ナースコール押しますね』 無理やり、話を変えました。 +*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+* あの後、どうやって 帰宅したのか覚えていません。 こんな状態では仕事に行けないですね。 今日は休ませていただきましょう。 体調不良ということで休みました。 『茉生』 “恋人”だった時のことが 走馬灯のように駆け巡りました。 食べる気が起きず コーヒーだけ飲み、 後はずっと寝室にいました。 “恋人”として愛しています。 例え、あなたに忘れられても……
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