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第二話❄️セクハラと相談
二日連続で休むわけには
いきませんので
気だるい身体を
ベッドから起こし
出勤する準備をしました。
茉生は当分の間は入院です。
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私は茉生にも浅窪先生にも
言えずにいることがあるのです……
それは、
体育担当教師の桝山……先生から
セクハラされていることです。
“先生”なんて呼びたくありませんが
大人として校内では
そう呼ばざる終えません。
茉生が入院している
今こそがチャンスでしょね……
その感は当たり
昼休みに捕まりました。
触られているだけで
済んでいる間はマシですが
エスカレートしそうで怖いです……
「栗栖は当分、
入院なんだってな(ニヤリ)」
私を見る目が気持ち悪いです。
茉生……
ギュッと目を瞑りながら
心の中で茉生の名を囁きました。
逃げようにも私と桝山では
体格差がありすぎで無理です。
ただ、終わるのを待つだけです……
満足したのか
やっと解放されました。
触られた箇所が気持ち悪いですが
午後も授業がありますし、
こんなことで
早退するわけにはいきません。
職員室には寄らず教官室に向かい、
昼食は食べずに
担当教室に向かいました。
顔色が悪かったのか
生徒達に心配されましまが
【大丈夫ですよ】
と苦笑を浮かべ、五時間目を終えました。
六時間目は授業がなかったので
教官室にずっといました。
放課後、職員室に戻り
少し残業をしてから
帰ろうと思っていたら浅窪先生に
飲みにいかないかと誘われました。
大して急ぎの仕事も
なかったので行くことにしました。
そして、あの事を
相談しようと思い
場所は私の家にしました。
途中のコンビニでお酒を買い、
浅窪先生と一緒に家に帰りました。
『実は、相談したいことがあるんです』
私も浅窪先生もお酒には
強い方なので滅多に酔いません。
「だと思ったよ」
私が悩んでいることに
気付かれていたようですね(苦笑)
そんなに分かりやすい表情(かお)を
していたんでしょうか?
自分では気付いていませんでしたね……
何はともあれ私はあの話しをしました。
例のセクハラの件です。
茉生が{恋人}として側に
居てくれない今は
浅窪先生だけが私の
心の拠所(よりどころ)です。
「あの変態野郎、
お前にもしてたのか……」
“お前にも”?
『私以外にもどなたか
やられた方がいらっしゃるのですか?』
気になりますねぇ。
「お前や茉生が来る大分前のことだ」
私達が来る大分前……
「俺達が若い頃に
やっぱり、あの変態野郎の
ターゲットにされた奴がいたんだ。
小柄で内気なんだが
生徒とは仲がよかった」
そんな方がいたのですね。
「お前に少し似てたかな」
私は内気ではありませんが
“小柄” で“生徒と仲がいい”のは
共通してますね。
「そいつはお前達が来る
一年前に辞めちまった……」
あんな、セクハラ野郎がいれば
辞めたくもなりますよね。
『そうだったんですね……
私は浅窪先生に話を
聞いてもらえてありがたいです』
男が男にセクハラされてるなんて
言えませんからね……
私だって、恋人だった茉生にさえ
話せていませんし、今回、彼が
記憶喪失にならなければ
浅窪先生に相談する
機会もなかったはずです。
「あいつの時は
手を差しのべてやれなかったんだ……」
二本目のビールを開けながら
浅窪先生はそう言いました。
『茉生が事故に遇わず、
今も恋人のままでしたら
私も桝山のセクハラについて
誰にも話せないままだったと思います。
可笑しな言い方ではありますが
これは私が浅窪先生に
相談する機会が
与えられたのかも知れませ』
私は負けませんけどね‼
悔しいじゃないですか。
『茉生に忘れられてしまったことは
ショックでしたし、寂しかったですが
こればかりは、どうしようもありません』
記憶が何時戻るかは
その人次第ですから。
ある日、ふと思いますこともあれば
一生、思い出さないこともあると
病院でお医者さんから説明を受けました。
ですから、{恋人}としては無理でも
{友人}としてはまた、
一緒にいたいと思ったんです。
「お前がそう決めたなら
俺は何も言わないが桝山の件は
今後も何かされたら直ぐに
相談してこいよな」
『はい‼』
茉生との関係は
一からやり直すだけです。
「じゃあな、また明日」
そう言ってもらえる相手が
いることはとても嬉しいことです。
『今日は
ありがとうございました(๑^ ^๑)
お気を付けて帰ってくださいね』
終電がある内にということで
浅窪先生は十時半に帰りました。
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