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まず、俺はとにかく作業場を求めて、立体造形科の辻野教授に相談した。
「おー!松永!見たぞ見たぞ!あれはいい写真だな。写真科の鳥飼教授が褒めていたぞ」
いや、撮ったの俺じゃねーし。
「それより、みんなに迷惑のかからない作業場が欲しいんです。一時的でいいので」
「ああ、僕の研究室、使っていいよ」
「え?先生の?って……」
「好きに使っていいよ。鍵渡しとくよ」
全然、ありがたくない。辻野教授の研究室はモノで溢れている。あそこを使うには片付けから始めなければならない。どうしよ……。
なんだか一気に生き辛くなってきた。同じ科の連中もなんとなく余所余所しいし。ミッキーも喋ってくれなくなったし。逆に全く変わりないのが豊岡という皮肉。
しかしだ、人形に抱きついて何がいけない?自分の作品を感じようとしただけだ。美大ならそんなの珍しくもなんともないと、ちょっと思い込んでいた。
変人万歳なはずが、俺も少なからず気にしてしまっている。噂をされることに。みんなが余所余所しくなったことに。ま、いいんだけどね。
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