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「明後日は?」 「ああ、明後日は教室もないし大丈夫だが。松永は大学だろ?」 「夕方来ます。先生に伝えておいてください。お願いします」 俺はそう言って、速川さんからの話は聞かないようにして帰った。しかし、何だこれ。一気に全てがおかしくなってきた。 充実していた人形中心の生活が崩れて行きそうだ。俺はアパートで一人悶々としていた。 何となく誰かと話したいような、誰とも会いたくないような……。それで気付く。こういう時に話す友達がいない。 つかず離れず、マイペースに生きてきた分、大学にも親密な友達はいない。モテる気になっていたが、うわべだけ。体だけの関係しかしてこなかったことに今さらながら気がついた。 長沢にしたって、仕事仲間に過ぎないわけだから、クビになれば会うこともないだろう。駄目だ。どんどん落ち込みそうだ。 俺ってこんなに脆かったっけ?ちょっと歯車が狂っただけだろう。また戻るはずだろう。 こういう時に限って、誰からも連絡がない。モモちゃんは毎日のように他愛ないメールをくれていた。俺は返信したりしなかったり。そういえば昨日からぷっつりメールは来ていない。いつもなら週末のバイキングのお誘いがあるのに……。  
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