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「やっぱり……俺、クビなんですか?」
「……首?クビ?え?なんだそれ?お前の首の造形が甘いって話か?」
「いや、違うでしょ先生。って、造形も甘いかもですが。その、甘すぎてクビって事なんですか?それで新しい人を雇うっていう話?」
「待て!待てよ。松永。お前はなにか激しく勘違いをしている。まず、ソラマメを食べろ」
焼きたてのソラマメはそりゃ美味しい。
「いいか。まず、松永は3年生になる。それでこの先就職活動が始まるだろうから、その中の選択肢にウチの正社員というのも入れて欲しいという話だ。ありがたいことに仕事のオファーは色々来ている。スタッフも増やさないと負担が増える。ただ、松永の考えもあるだろうから速川から話して、まずは軽くでも考えて貰おうと思った。僕が話すと気を使うだろう?」
マジか?逆のマジか!
「それ、本当ですか?正社員として働けるんですか?俺、用無しじゃなくて?」
「おいおい、松永、お前ほど最高のスタッフはいないぞ?長沢ももちろんそうだが。二人との縁は本当にありがたいと僕も燿子も思っている」
「でも、先生、駄目だし凄いし。俺の作品はあっさりしてるって」
「そりゃ、アトリエ・ジローの作品としては厳しくはなるだろ。作品は常に成長するものだ。大体、そんな簡単に完成してOKなものはつまらないだろう」
「……確かに」
「松永はまだ自分の作風が確立していないし、それはこれからやっていく中で見つけていけばいい。そのうち独立していくだろうし。そうなるまでウチで後輩スタッフを育てつつ制作し続けたらいいんじゃないか?って、ほら、もう強制的に勧誘になってしまうだろう?」
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