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「言われてすぐ形にできるのは僕のイメージをそのまま形にしたに過ぎない。コピー機と一緒だ。それだってすごいことだ。それすら出来ない者は五万といる。実際、松永の来る前に四人学生を雇ったんだが、みんなすぐに辞めていった。僕の要求どおりに作れないからだ。あ、ひとりは違う理由だったな」
「なんですか、それは?」
「三人は男子で、ひとりは女子だったんだ。この女子は男っぽくて、自分でも『私の事は男だと思ってビシバシしごいてください』って言っていた。ところがだ。彼女は思いっきり女で、僕を男としてみていた」
「それって」
「寝込みを襲いにきたんだ」
「先生が?」
「むこうが!だ。僕はそんな気は全くないから無視したら泣いて怒ってそれっきり来なくなった」
「そんな気なかったんですか?だって……」
昔は来る者拒まずって話を聞いたし、第一燿子さんには手をつけている。
「燿子と一緒にするんじゃない。燿子は僕のアンテナがびっしり立ちまくったから採用した。しかも燿子はそんなあざといことは言わない。純粋に人形のことを考えていた」
びっしり……。やっぱり燿子さんのことは初めっから目をつけてたのか。
「そういえば、今日、燿子さんは?」
「髪を切りに行っている」
「先生、前は燿子さんの髪が長い方が好きだったんですよね。また伸ばしてもらわないんですか?」
「燿子が伸ばしたいなら伸ばせばいい。それはそれで楽しみだが。ボブの燿子、ロングの燿子……」
なんか、想像しているようだ。顔がにやけている。
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