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燿子さんも交えて、お酒を飲みながらの和やかな時間は、俺の焦りやささくれ立っていた心を穏やかにしてくれた。
と、いうか。むしろ、自分がこんなにも苛立っていたことに気付かされた。
ジロー先生に卒業後も働きたいという気持ちを伝えると喜んでくれたが、俺自身が何より覚悟が決まったすっきり感で気持ちも浮上した。
土曜、長沢と朝から教室のアルバイト。昼休憩の時にモモちゃんのことをそれとなく聞こうと思っていたが、長沢がなんだか暗い。
「長沢、元気ないな?」
「う、わかる?ボク、もう疲れた」
「え?珍しいな。何に疲れてるんだ?」
「ナオの束縛」
「おお……ヘビーな話だな。話してみろよ」
長沢は俺を見てため息をついた。
「聞いてくれる?ナオってさ仕事バリバリやってきたタイプで、恋愛に疎いっていうか、まともに付き合ったのがボクが初めてなんだ」
「あれ?ナオさんて26歳くらいだっけ?」
「そー。仕事で周りに頼られたり恐れられたりしてるけど、実際は甘えんぼうでさ。それは可愛いんだけど。ボクの日常の行動にまで必要以上に干渉してくるというか、心配しすぎるというか」
「他の女と喋るなとか?」
「そー、あれ?よくわかるね」
「そういうのと付き合ったことある」
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