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「さすが。ねえ、どうやったら相手に信じてもらえるの?」
「何を?」
「ボクが好きなのはナオだから大丈夫だっていうことだよ」
俺は言葉が出なかった。そんな風に思ったことがなかった。信じられないなら仕方ないとばっさり切って終わりにして来た。終わらない相手がその後ストーカー化するわけだが、俺の中では終わってしまう。
「わかんねー。束縛されても好きなんだ?」
「そうだね。今はね」
「今は?」
「たぶん、これが続くと気持ちが離れちゃうんだろうって予感があって。それが嫌だな」
「う、なんか、長沢って大人だな」
「え?どこが?ナオの束縛を上手く包み込めない子供だよ」
「束縛って、例えば?」
「平日は朝、昼、夜と頻繁にメールとか電話。休みの日に会うのは絶対とか。断ると浮気を疑うとか」
「うげ。大変だな」
「初めは嬉しいとも思ったんだけど。続くと息苦しくなる」
「あ、燿子さんに聞いてみたら?燿子さんはジロー先生の束縛を受け入れている」
「え?ジロー先生ってそんなに束縛すごいの?」
「燿子さんがひとりで外出すると1時間おきに電話するらしい。一緒のときはどこかに触れていないと気がすまないらしく、ベッタベタにまとわりついている。それを燿子さんは飼い犬を撫でるようにヨシヨシって感じで受け入れている感じだった」
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