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「うわー、想像できる」 「あの二人はさ、見ててある意味羨ましい気もするから不思議だよな」 「確かに。よし、夕方お茶しに工房行って燿子さんに聞いてみよっと」 午後の教室が始まるので一旦終了。モモちゃんの話は出来ないまま。夜もモモちゃんからのメールはなかった。俺からしても良いのだが、なんか出来ない。  日曜日、午前の部は長沢と燿子さんが教えて、午後は俺と燿子さんなので長沢とは入れ替わりだ。 昼前にアトリエ・ジローへ行くと入り口の前に女の子が待っていた。見たことある。きっとナオさんだ。声をかけようかと思ったら丁度長沢が出てきた。 「ナオ!お待たせ」 そう言って、軽くおでこにキスをした。ここは日本だよな?フランス映画を観ているように自然な雰囲気に固まった俺。 「あ、松永、お疲れ」 「お、おお。お疲れ」 「ナオ、松永だよ。あの時一緒にいた」 「ああ!沢村が話してた子ね。こんにちは」 「どうも」 「ナオ、時間ぎりぎりだ。急ごう。松永、来週ね」 「ああ」 二人仲よく手を繋いで行った。なんの問題もなさそうに見える。昨日燿子さんと話して解決したのかも。後ろ姿を見送りながら、対である事がいいなと思った。誰かと対になる。そんな未来が俺にもくるのか……。
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