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「どうも。そっちは?」 「沢村世奈(さわむらせな)です。世奈って呼んで欲しいな」 上目遣いに言われたが、俺の頭にはアイルトンの濃い顔が浮かんだ。親父が好きでF1をテレビでよく見てたな〜。っと、ヤベー、こっちに集中しねーと。 「セナ?可愛い名前。俺のことは松永で」 「ええー、そこは洋海くんとかヒロくんとかじゃないの?」 俺は呼ばれ方は何でもいいと思ってしまう。 「じゃ、洋海で。ヒロくんにはあんまり良い思い出がない」 「え?なになに?聞きたいなー」 「話してもいいけどつまんないよ。先に飲み物頼もうよ。セナは何がいい?」 俺はベルギービールにしようかな。可愛いラベルのが色々あるなぁとメニューを見てた俺。セナの反応がないので見ると、頬に両手を当てて固まっている。 「え?どうかした?あ、ごめん。メニュー見る?」 「違うよ。セナって呼ぶから、ドキっとしちゃった」 だって、セナって呼べって言われたし。俺の中ではアイルトンだし。 「え、ごめん。セナさんて呼ぶね」 「いいの!呼びすてにして!」 若干面倒になってきた。まだビールにもたどり着けていない。こんなやり取りを続けるのかと思うとゲンナリする。
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