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「で私に会ってどうしたいんです?」
「婚姻を前提に付き合いたいんです」
「はぁい!?」
思いっきり彼女から軽蔑の眼差しを向けられた。
「もう私と結婚してもメリットないの知ってますよね?」
「はい、伯父のしたことは申し訳なく思っています。だけど再三言うように家絡みではなく、僕が貴女を好きだからです。写真を見て惚れました」
「えっ、いつの写真見て?ロリコン!?私今年18だけど貴方は?」
ようやく伝えた僕の一世一代の告白に、彼女は酷い言い草。
「23です。大人になってからの5才差なんてザラですよ」
「世間はそうでしょうけど私今恋愛とか、まして結婚なんか考えてる余裕ないんです。やっと決心がついて夢に向かって走り出したところなんですから」
「それは、お父様みたいな料理人になりたいという夢ですか?」
彼女は目を輝かせて僕を見る。
いつもそんな彼女を側で見ていたい、もっと距離を詰めたいと思わせる笑顔。
「そうなの!よく分かったわね。私、店長の料理を食べて決めたの!」
僕以外の人間が彼女の将来の決定要因になるとは面白くない。
「だから学業そっちの気で働いてると」
少し棘を含ませると、彼女は顔を曇らせ
「みんな、それ言うのね。もっと料理の修行するには寝る間も惜しいくらいなのに」
「睡眠を削ったら身体壊しますよ」
「ふふっ真一さんもヘロヘロだったもんね」
「…」
やはり駆け付けて良かった。
若い彼女が家族ではない人間から影響され始め、その特定の異性を思い浮かべて微笑む…杞憂かもしれないがリスクは減らしたい。
「高校を卒業したら調理学校に進学してみては如何ですか」
看過できない事態に発展する前に僕は提案した。
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