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画面越しに何万回と見た彼女が、こちらを見て笑顔で立っていた。
僕は小刻みに振るえる手で、差し出された彼女の小さな手をそっと握った。
天にも昇る思いとは、まさにこういう感情のことを言うのだろう。
目の前の彼女が、まるで天から僕を迎えに来た天使のように思えた。
しかし、柔らかなその手から伝わる温かさが、この夢のような瞬間が現実であることを確かに感じさせた。
顔をあげると、わずか数センチ先に彼女の顔があった。
その目を見たとき、無限にあふれ出す思いが、舌の先でひとつの言葉になった。
「今までありがとう。」
自分でも驚くほど自然に言葉が口に出た。
「こちらこそ、応援してくれてありがとう。」
彼女も、聖母のようなほほえみとともに、その一言を口にした。
それ以上の言葉は必要なかった。
交わす視線が、繋いだ両手が、2人を深く繋ぎ、互いの思いを全て伝えてくれている気がした。
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