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「お時間です。」
肩を叩かれた衝撃で、僕は夢のような世界から引き戻された。
その場を離れ、彼女が見えなくなった後も、僕はしばらく茫然として、足が地に着いていないような心地だった。
きっとこれから先、彼女とこうして会うことはないのだろう。
これまでのように頻繁に、彼女の姿を見ることもないのだろう。
心の中で寂しさが無限に湧き上がってくる。
でも、彼女と出会えたことへの感謝が、そんな感情を優しく包んで、僕の心を幸せで満たしてくれた。
たとえ会えなくても、アイドルでなくなっても、彼女へのこの思いはきっと永遠なんだろう。
僕はいまだ長く続く、彼女へと向かう列を横目にその場を後にした。
手のひらにまだ残る彼女の温もりを感じながら。
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