ふりかえる

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ふりかえる

「あれ、ここにあったのか」 うだるような夏の日の午後。 1人暮らしのアパートの一室。 大学は休みで、約束もなくて、彼女は退屈をしていた。 ベットに寝転がってごろごろしていたら、ついうっかりカーペットの上に転がり落ちてしまった。 どすん 鈍い音がした。 「うわ、やっば」 自分の体よりも、下の階から苦情がこないかと彼女は冷や冷やし、なにも反応がないことを確認して息を吐きだす。 ふと、横を見ればベットの下に段ボール。 確か、実家から持ってきた荷物をいくつか詰め込んで、そのまま放置していたものだ、と彼女は思い出す。 何の気なしに引っ張り出して開けてみる。 「あれ、こんなところにあったんだ」 塗装がはげた銀色のそれ。 これに初めて出会った時も、大掃除の真っ最中だった。
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