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唇を重ねて。
何度か、触れて、離して。角度を変えてキスする。
そうしても、優月が嫌がってないことを確認してから。
舌を入れて、絡めた。そのまま上顎を舐めると、びく、と震えて。
「……っん、ぁ……」
声が、漏れた。
今度は息ができないというよりも、たぶん、気持ちいいから漏れる声。
「……っん、ん……」
少し離して、息をさせてから、また重ねる。
小さく、漏れる声が――――……なんだか本当に……。
キスすればするほど――――……とろんとしていくその瞳と、気持ちいいのを持て余してるみたいな表情が、何だかすごく可愛く見えて。
目の下にある、小さなほくろ――――……なんか、エロい。
キスが初めてというのには、驚いたけれど。
素直に、受け止めてくれるからなのか――――……
慣れていないのは分かってるけど、反応は、悪くない。
いちいち、ぴくぴく反応するのが、新鮮。
「ん……っ……」
キスしながらも、時間がヤバいのは分かっていた。
仕方なく、ゆっくりキスを離したら、涙で潤んだ瞳が薄く開いて。
「――――……」
離したくなくて、もう一度、押し付けるみたいに、キスをした。
なんか、オレ――――……
……こいつに、もっとキスして。
触って。――――……抱いてみたい、気がする。
「優月……」
「……?」
「月曜何限まで?」
「……えと……5限……」
「オレと寝てみる気になったら、月曜の5限の後ここに来て。初めてだろうから、考えて決めろよ。 それで無理なら来なくていいけど――――……」
「――――……」
「……優月?」
まっすぐ、見つめて。
名を呼んで、頬に触れた。
「来いよな。すっげえ優しくしてやるから」
最後にそう言って。
絶対来いよ、の意味を込めて、
ちゅ、と頬にキスしてから、オレは優月を離した。
「じゃな」
後ろ髪を引かれるなんて、なかなか無いけれど。
許されるなら、練習はバックレて、いまこの勢いで口説いて、二人きりになりたいけれど。
キスも初めてだった奴を、いきなり連れ込むのには気が引けて。
月曜までなら、考える時間も、あるし。
覚悟してから来てくれた方がいい。
男は無理、と言っていたから。
無理なら、仕方ない。
来なくても、仕方ないけど。
――――……出来たら月曜。
ここで、会えたら良い。
何だか強く、そう思ってしまった。
(2021/3/23)
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