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上弦の月
遠く離れていても、瞳を閉じればいつもそこにいる。
風になびく髪にそっと手をおき、うつむき加減で微笑む横顔。ゆっくりと腕を伸ばし海に映る夕日をみつめて、
「この光の小道は太陽に続く道、誰もが等しく導かれているの。ほらね、歩いても歩いても、ずっとついてくるでしょ」
見慣れた光景が鮮やかな色彩をまとい、僕のこころを充たしていく。こんなことばひとつで世界観が変わってしまった。
瞼に映る君はいつも笑顔なんだ、あんなに泣いた夜もあったのにね。
「この川は広くて深いの...わし座とこと座。天体が回るのってほんとにロマンチック、観ていて飽きないけど...七夕に願ったの、一緒の夜はどうか回るのを止めて下さいって。明日からまた寂しいよ」
今宵の上弦を君は見ているだろうか...
見ていて欲しい、同じ夜空を。
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