ありがとうあいしてる

1/1

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
 初めて彼女に振舞った手料理は、合格点からはほど遠かったらしい。  作ってもらっておいて、なんだけれど―。  普段から歯に衣を着せぬ物言いの彼女が、珍しく口ごもるように言いながら渡してきたのは、幾重にも折りたたまれた紙。  がさがさと開いている間に部屋に閉じこもってしまった彼女の、それは手紙(の、ようなもの)だった。 「りょうへ  あなたが作った  りょうりときたら  がっかりとしか言いようがない  とうてい合格点に届いてないし  うまく作ってよね、次こそは!  みさき」  厳しいなあ。苦笑いが浮かぶ。  そして、返事を書くことにした。 「みさきへ  あれこれがんばったけど  いたらなくてごめん  しょうがない、初めてはこんなもの  て、思ってもらえたらいいんだけれど―」  ここで、筆が止まった。 「る、る、るで始まる言葉、って何かあったかな?」  うーん…。いくら頭を捻っても思いつかない(--)  ねえ、これを読んでいるあなた。いい知恵があったら、教えてくれないかな?
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加