不幸の手紙

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「はい」 「お届け物なんですが」 「・・・?」  某有名ネコマークの人。足元には段ボール、手のも段ボール、でもそこには白菜や玉ねぎと書いてある。 中にはぎっしりメール便。 「あの、もしかして、今テレビでやっているのでしょうか?」 「テレビですか?」  俺は、ちょっと待ってとチェーン越しに、スマホを取りに行き、ネットニュースを彼に見せた。 「気持ち悪いですね、だからこんなに忙しいのか、見る暇もなくて」 「拒否ったらどうなるんでしょうね?」 彼らは元の人に返すだけだというのだが。 「すみません、小林さん、あれ?」 そこには、日本のマークの入った運送会社、その後ろには西のカンガルーマーク。 どうしたんですかと覗き込む。 俺もやっと把握した。 でも、ありがとうを込めて、手紙を送れって、それでこんだけの人が死ぬか? 「でも、向こうから差出人指定してくるんだろ?」 「どうする?」 会社に聞いてみます。  中の番組はうるさいぐらいに、各運送会社、郵便局は差し止め、返却をいうが、死にたくないと思えば出すよな。 この人たちも仕事抱えてるんだろうし。 「はい、チェックして、紙以外のものがないかですね、はい、わかりました。すみません、メール便以外のものがあればそれだけおいて来いと」 彼がしゃがみこみゴソゴソしだした。 するともう一社の人が。 「はい、はい、ああそうなんですか、では、お聞きして戻ります」   何かあったんですか?  スマホを指さし、どうも続きがあるみたいです、会社からは、受け取り拒否OKだそうです。   どういうことですか? 何でも直接持ってきて、本人の前で、ありがとうと言わない限り、死んじゃうみたいですよ。 それこえーよ。という他の人。 三人は、とにかく持って帰りますといって、俺はありがとう、ご苦労様でした。と声を掛けたら、三人の人も、すみません、夜分すみませんでした。ありがとうと声をかけ帰って行かれた。 さすがにもう来ないよな。 テレビはまだやっている。 でも不幸の手紙やチェーンメールって、さらに次の人に出さなきゃいけないんじゃなかったかな? んーとにかく、ちゃんと見よう。テレビもそういっているし。 宛名の確認だけした。 はがきは、ダイレクトメールやカード会社の請求など。 ほとんどが封書だ。 いやがらせだよな。 名前を見ては、いい思い出のない奴らばかり、それより、こいつ誰?と思う名前もある。 チェックしたのは、そのままビニルの袋に突っ込んだ。 明日も仕事、風呂に入って寝なきゃ。  布団に入りながら考えた。 どうやって俺の住んでいる住所突き止めたんだろう、この場所は、身元引受人の母親しか知らない、後は会社の人事ぐらいか?いや、大学出てから、今の会社で二社目。 ガバット起きた。 なんで知ってるんだよ? 俺は怖くなって母親に電話した。 「ごめん、こんな遅くに」 どうしたという母親に、こんなことが起きてるのだが、誰かに、教えたりしなかったか尋ねた。 ああと言ったが教えてないという、母の所にも数枚来ていたらしいが本人が来たのはないという。  母親の名前で来ていたのはあるかと聞いたら、まだ開けてないねーという。 開けるなよと言いながら、俺の住所は教えるなと言ってまたかけると電話を切った。  嫌な思い出はいっぱいある、いじめは確固たるもので、俺はそれが嫌で、勉強に明け暮れた。 高校もジモッティーから遠いところ。大学は東京。 それでもここまで来たし、いろんなことを乗り越えてきた。奴らがどうなろうと知ったこっちゃない。
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