不幸の手紙

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何かが鳴る音に目が覚めた。 何の音だ? あちこちから聞こえるインターホンのなる音だ。 まじかよ。 俺の所だけじゃない、周り近所もだ。 どうなってるんだ? そーッと開けてみた。 「助けてくれ、これを受け取ってもらえないと死んじゃうんだよー」 「知らないわよ、別れたあんたがいまさら何を言うの、帰れ!」 うわー修羅場。 「ここを開けてください」 「ですから、あなたみたいな人知らないんです、人違いですお帰り下さい」 でもなー、なんだかなー。 「こんな朝っぱらからくんじゃねえ―よ!」 バタン! うわー。  目が覚め、テレビをつけた。 「見てください、これだけの封書が届きました、実際きたのは一人だけでした、彼女は助かるんでしょうかね?」 へー、芸能人の所にまで、ふーん。 「只今警察より、亡くなった方々にどのような支持が来たのか、調べているのですが、進展がありません、どうなっているのでしょうか?」 「生還できた方々も助かったからと言って話してはくれないんですよね」 「どうも、そのまま帰らないといけないようですね」 「また新しい情報が入ってきました、え?これは、すみません、国民の皆さんよく聞いてください」 何が起きた? 「手元に届いたものがありますでしょうか?」 あるな。 返せなかったりして手元にある物は、返還しろというのだ、郵便局大変だろう? 破り捨てないでください。 ゴミに入っているのは拾い、あて名の横に、こう書いてお近くの郵便局、またはポストに返還してください。 俺はすぐそばにあったメモ用紙を手にした。 「よろしいですか?」 いいぞ。 「ありがとうございます、国の指示に従いお返しいたします。こう書いて送り返してください、繰り返します」 面倒だな。 それに、住所、わかっちまうジャンよ。 でもなー。 「ですが、住所とかは見られたくない方もいるのではありませんか?」 そうだ、そうだ。 「そうですね、何か入ってきていませんか?」 スタッフと聞いているみたいだ。 「アーえーと、あ、はい、はい、新しい情報です、ただ今より、日本郵便の社長の会見が始まります」 お? 社長は、ただのいたずらだと思っていたが、全国で死者が多数出ていて、今思案している最中なんだそうだ。 住所をそのままに返してくる人のは、そのまま差出人に戻すという作業をしているという。ただ膨大な数のため、すぐには返還できないというのだ。 ということは、もっているだけで、死んじゃうの? やっぱり嫌がらせじゃん。 「ここでいったんCMです、その後、オカルトに詳しい、○○さんに登場していただきます」 どうなるんだろう?これ、今日も来るんだろうな? 別にいいか、テレビの向こうにいる人たちもあわてている、家に帰れないと騒いでいる。 不幸の手紙なら、期限があったよな。 それになんでありがとう何だ? まあ、ありがとうって、向かい合わせで言うとこっぱずかしいっていうか、結構勇気いるよな。 ありがとうか、そういや、昔、母さんに母の日のプレゼントも案外照れるっていうか、複雑だったもんなー。 でもこれだけの人が死ぬって、おかしいよな。 まあいいや、仕事行こう。行ったところでみんなこの話で盛り上がるだけだろうけど。 俺みたいに、のほほ―ンとしているのは興味もわかないし、毎日の仕事だけして、好きなように生きているのにとっちゃ、案外、今までいろんなことを乗り越えてるから、それに乗ることもないし。 いじめかー。 不幸の手紙なんて山ほど受け取ったけど一回も送った事なんかないし、めんどくさがりなんだよな。 っていうか、かかわりたくなかったしな。 なんでいじめられるのかもわかんなかったし。 嫌なこと思い出しそう、過去は忘れた、忘れて新しい今があるんだ。 「行ってきます」 俺はそのままにして会社へと向かった。
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