不幸の手紙

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 その後死者は減っていった。  俺の様に出さないでいた人たちも多かったのは確かだ。テレビ局やマスコミも大騒ぎで、どれが正しい事なのか揺れた。 結局、開けないまま、シュレッダーにかけたり、焼いたりと、中身を見なければどう処分してもいいということがわかり、俺は会社のシュレッダーにそれを突っ込んだ。 今のところ、体に変調はない。  あれから一年。  この国は元のように戻っていった。  国が出した最終見解は集団ヒステリーによるパニック障害。 それで片づけられた。 だが、そこには、郵便局員や、宅配便業者など、多くの人たちが、いじめのようなことに合う羽目になった。 この国は、かつて、パンデミックを経験した。その時は、なんの関係もない、医療従事者やその家族が、いじめにあった。 この国は、かつて、大きな災害を経験した。 ただそこに住んでいたというだけで、逃げた被災者たちは、何十年たってもいじめの対象者だ。  俺は思う。  見かねた神様が、この国に鉄槌を入れた。  そう思うことにした。  それでいい。  俺は空を仰いだ。 「神様もいいことするじゃん、ありがとう」 そして俺は変わり映えのない毎日を送っている。
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