スクープ4 隠し事

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スクープ4 隠し事

あの人に頭を撫でてもらった思い出なんかない。 「なんだその目は?」 その目ってなんだよ。 その後俺が見ていると必ず手が飛んできた。だけど、姉ちゃんだけは違った、まるで、こびるように話す姿は哀れで、みっともないと思っていた。 それを姉ちゃんはわかっていた、だから絶対親父の言うことは聞かなかった。そしてあの女も。嫌な思い出ばかり。 風呂から出ると、キッチンからにぎやかな笑い声が聞こえる、尚が笑っている、あいつの笑い顔を見るのはうれしい。 「どうした?」 頭に乗る大きな手、後ろを振り返った。晃さん。 「お帰り」 「おう、ただ今、どうした?」 「ン、ちょっと思い出してさ、ねえ晃さん、姉ちゃんはなんで俺たちと一緒に住みたいと思ったんだろう」 「んー、引け目、強がりかな?」 強がり? 「自分が女だったからできないこと、子供だったからできないことで済まされないそれをわかったからかな」 「わかんねぇ」 「そうだな、それはあいつしか知らないことだ、でも同情なんかでお前らを引き取ったんじゃないぞ、お前らはもうわかってる、そうだろ、ここには家族っていう愛情があるんだからさ」 中に入ろうといわれた、キッチンには、おばあちゃんと尚と千晶姉ちゃん、そこに俺と晃さんが加わった。 「兄ちゃん、どうかした?」 夢を見ていた。 「夢?」 「長い夢、母さんが捕まってからの三日間を思い出してた」 「ついこの間のことなのに?」 まだ一か月たってないんだ。尚はスマホからカレンダーを出した。 「ここにきてまだ二週間だよ、どうしたの?」 俺ちょっとおかしいやと兄ちゃんは隣の部屋に入っていった。 俺は隣に布団をもっていった。 なんだよという兄ちゃんの横に並んだ。 「なんでも話してよ、秘密はなし、隠し事もなし、俺はここに来てから全部話してるよ、俺じゃ何にもなんないけど聞くことだけはできるからさ」 そういう、尚の頭を撫でた。 「俺さ、ここに来て初めて頭を撫でられたんだ」 「俺も、俺も、叔父さんも晃さんもおっきな手で気持ちいいよね」 俺は、親父の話をした。 「うん、俺もそうだった、じいちゃんが教えてくれた、父さんは、姉ちゃんに嫉妬してたんだって、財産を持った子が手を離れて、何にもない俺たちが残ったから、あんな奴人間じゃねえって、だから俺たちはその人間じゃないのを育てたところに行っちゃいけないんだって、俺はそれ聞いてよかったと思う、父さんのおじいさんのところに行ってもこんな楽しくなかったもの」 そうか、やっとわかった、そうだったんだ。 「尚、ここに来てよかったな」 「うん、良かったよ、新しい学校、楽しみだな」
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