スクープ4 隠し事

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本当にこの家に来てから笑ってばっかりだな。 夕方、部屋をノックする音 「はい」 絵美ちゃん? 「暇?ちょっとでない?」 今は、お客さんもいなくなり、俺たちは、弘一君の隣の部屋にいる、いずれは本家に入るけど、今はまだ片付いていないからここにいる。 尚たちは犬の散歩に出かけた。 絵美ちゃんと商店街の中を歩く、みんなが声をかける、もう慣れた。 「ここで待ち合わせしてるんだ」 待ち合わせ?誰と?まあ入ってと言われた。 喫茶店?俺初めてかも。 カランカランときれいな音が鳴りドアが開く、コーヒーの香りがぷーんとしてきた。 「こんにちわ」 「毎度、来てるよ」 上と言いながら俺もぺこりと頭を下げた。 ロングヘアーの若い男性がカウンターの中にいる。 絵美ちゃんの後ろをついていく、狭い、人が一人やっと通れる階段を上っていくと急に明るくなった。 「ごめん待った」 「きたきた」 「ご苦労さん」 「何たのむー」 そこには女子が二人と男子が三人、明るい日の光の当たる大きなテーブルの周りに座っていた。 「紹介するね」 女子、田中さんと長嶋さん、男子、上六豪(うえろくごう)「六ちゃんの息子さん」 「初めまして祐です」 「よろしくな」 町田君と橋本圭太君、長嶋さんと橋本君はおんなじ二年生、そしてこの商店街の近辺の子、絵美ちゃんにしてみれば幼馴染ってとこらしい。 「腐れ縁ってとこか」 「ふん、高校は女子高じゃ」 「さて本題に入るか」 「よっ学級委員長」 「来年はわからん」 「来年は生徒会長ってか?」 「ぜってーやんねえ、さて、祐くん、畑山でいいのか?」 「それはない、弁護士さんが来て、今年の夏には杉本になるから」 「そうか、じゃあ杉本で学校には届けるのか?」 「父さんはそうしたいって言ってる、やっぱり畑山って名前は大きすぎるって言ってた」 「そうだろうな」 「俺祐でいいよ、そのほうがいい」 「じゃあ俺も豪でいい」 「俺も圭太でいいから」 なんでも絵美ちゃんたちの学校には、派閥があるらしくて、俺みたいな転校生は何かと狙われやすいんだそうだ。 それでも一年足らずで卒業、親に頼まれたとはいえ、俺たちが守るからと言ってくれた。 また守ってくれる人たちが現れた、俺はなんて恵まれているんだろう。 「何、悪だくみか?俺も混ぜろ」 そういってさっきのマスターが顔を出した。髪を一つに結っていた。 絵美ちゃんが俺を紹介してくれた。 「河西です、みんなはマスターって呼んでるからそれでいいや」 ここは商店街の寄り合い所、うちらはこの二階が隠れ場所といった。 大人は大きくて階段を上ってこないのが理由らしい。 圭太はお盆を受け取ると、早く降りろといった。 「暇でも店番しろよ」 「へいへい、まったく今どきのガキンチョは」 「繰り返しでしょ、もう次のが詰まってるんだからな」 「少子化っていうのはどこの話なんだろうな」 「早くいけよ」 退散、退散と階段を下りて行った。 「今の三年は受験で三学期はほとんど出てこないと思うけど」 「あくどいのがいるのよ、すぐにわかるは」 見た目? 「そうそう、学ランの中、キンキら金」 金持ち? 「まあね、須田って知ってる?」 「知ってるだろ、親父が代議士じゃ」 「まさか、須田大臣の息子?」 「そう、俺らの一個上」 こんなところにそんな人が。 「こんなところにいなくてもいいのにね」 「バカなんじゃねえの、だからじいちゃんちに預けられた」 「真相はわかんないけどね、でもきおつけたほうがいい、どこから漏れるかわかんないから」 絵美ちゃん、この話叔父さんは知っているの? 「うん話はしてある」 「そっか、俺守られてばっかりだ…ありがとう、これからもよろしくお願いします」 任せておけとか、よろしくとか言われた。そしてこの六人とマスターとはずっとこれからもかかわっていくこととなる。
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