部活動での恋心

4/4
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
 わざわざ私の家の近くまで原付で来てくれた先輩。 「お久しぶりです、先輩…!」  笑っているかな、私… 「久しぶりだな。元気か?」  他愛もない話。  怖くて切り出せない本題…  でも、言わなきゃ… 「…私、先輩が好きです…先輩、卒業しますけど…でも…付き合って、もらえませんか…?」  私の悪い癖、好きな人の顔は照れて見られない。  だから私は半分下を向いたまま、チラチラと先輩を見た。 「…カオリ、俺、引っ越すんだよ…」  苦笑いの先輩。 「知ってます…!!でもいいんです!好きなんです、先輩…。私のこと、嫌いですか…?」 「嫌いじゃない…でも、良い奴見つけろ〜?」  おどけてみせる先輩。 「…。」  もう、遅かったよね… 「っ…先輩、いつか、また…!」 「元気でな…!」  私の終わった恋。  私は先輩と別れたあと、泣きながら家に帰った。  卒業式。居なくなる先輩を思って泣いた。  自分の卒業式ではふと、あのときの先輩を思い出した。  そしてさらに何年か経って… 「あ…先輩…!!」  インターネットで見つけた数年前の、ある演劇公演後の俳優さんたちのコメント。  その中に、昔と変わらない雰囲気の先輩の写真とコメントがあった。  結婚したかな…  どこに住んでいるんだろう?  今も元気かな…  でももし会えたら一番伝えたいのは、 「先輩、ありがとうございました!」  …かな…。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!