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高校一年生だった私は、三年生の部長の先輩が好きだった。
入学したての演劇部の部活の紹介で、明るく楽しそうに動き回る先輩。
顔が良いとか、声が良いとかじゃない。
人が好きというような、あの雰囲気が好きになった。
「カオリの配役、俺の助手役な!」
「わぁ…はいっ!」
初めての演劇で部長先輩に言い渡されたのは、その先輩の助手役。二人きりの一緒の出番が少しだけあって、私はとても嬉しかった。
先輩は演劇が大好きだそう。
有名なある人に憧れているんだとか。
だから部活動では熱が入る。
「よし次、白石のシーン行くか」
…いいなぁ、白石先輩は演劇部一の美人。
重要シーンは、部長先輩と白石先輩の二人きり。 うらやましい…
夏休み、部長先輩が個別に皆と演劇の話し合い。
私も当然個別で呼ばれる。
「…って感じで行くぞ、カオリ、いいか〜?」
「はい。…あ…先輩…」
ずっと気にかかっていた、入部のときに聞いた言葉が気になっていたから、いま聞いてみようと思った。
「…先輩…あの、質問…なんですが、その…部活内恋愛は禁止、って、本当ですか…?」
よく考えれば良かった。
そんなことを聞いたらそれはこうなる、って…
「お!カオリ、好きなやついるのか!?誰だ?横井か!?大田か!?それとも…」
楽しげに部員の名前を上げ始めた部長先輩。
…本当に、私って…
おまけに部長先輩はとうとう、自分以外の男子部員の名前を上げ終えてしまった。
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