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次回予告、はっじまっるよ~う!
◇その三、それにしても最近の子はじれったいですね、そのいじらしさがそそります。
○多田真知子は恐怖した
「腹の探り合いはもううんざり。さっさと殺そうよ」
キロはこの女から何かを聞き出したかったみたいだけど。
そんなやわじゃないよこいつは。
「この女は時間稼ぎしているだけ壁に寄り掛かったのだって外の様子を確認するためだ」
キロが最初に告げた三〇分はブラフだ。こいつを焦らせて正常な思考を妨げるだけの演出だった。
それにさっきからキロの問いかけはふわふわして核心のないものばかりだ。
普通に生きていれば殺しなんかに関わる機会はない。
だから、キロは万全を尽くしてことに望みたいと考えている。
だから、仲間全員に声をかけた。
協力してこの危機を乗り越えようと。
私は愚策だったと思う。
参加者が増えるということは、それだけ不確定要素も増えるということだから。
が、それはいい。まだいいのだ。
最善の選択は、『私にだけ相談すること』だったがここまでくれば一蓮托生だ。
この場合の問題は別にある。
厄介なことにキロは気付いてないんだ。
キロは、初めての殺しにビビッている。
仲間を集めたのは、罪悪感を分散するためだった。
それでもまだ、自分の選んだ選択を迷っている。
他人を影から唆すのではなく、自分で計画した上で自ら殺すのだ。
それは普通、怖いだろう。
だから、誰かに『大丈夫』って言ってほしいんだ。
そしてさらに厄介なことに、キロは無意識にその許しを目の前のこいつに求めている。
だから殺そうと思う。
今すぐに、私がこの手でだ。
それが最善なのだと私だけが決断した。
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