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鍋に醤油・砂糖・みりんと水、そして玉ねぎを入れて 強めの中火で2分。一口大に切った鶏肉も加え更に3分。
その間に味噌汁を作りながら、先ほどの鍋の中で鶏肉に火が通り味も沁みたところに溶き卵をくわえる。
「親子丼?」
いつの間にきていたのか、隣から鍋の中身を覗き込む陽斗の顔が何だか寂しそうに見えて、しまったと思った。
親子丼なんか作ったら陽斗はきっと……。
「俺、姉ちゃんの親子丼大好きだよ」
私の顔色を見てか、気を使うように笑う陽斗に本当に申し訳なく思った。
手っ取り早く作れるものを、といつもよりも手を抜いて作ったものが親子丼だなんて、最低だ自分。
「明日、何食べたい?」
罪悪感のせいか、声のボリュームが小さくなって、明日の夕飯のリクエストを受け付けた。
明日は陽斗の好きなもの作ってあげよう。
「う~ん、カレー?」
「金曜日だから、陽斗の好きなもの食べに行ってもいいよ? 姉ちゃん、給料出たばっかりだし」
「いいよ、姉ちゃんのカレーの方が美味しいし」
「嘘つけ! この間はレトルトのカレーが美味いって言ってたじゃん」
「レトルトのカレーよりも、姉ちゃんのカレーが好きなんだってば!」
たとえご機嫌取りだとしても、これはこれで嬉しい。
「じゃあ陽斗も手伝いなよ、皮むき」
「わかった!」
「で、宿題と風呂掃除は終わった?」
「あ」
「早くやってきなさーい!」
また振り出しに戻る。
私が小学生の時はもうちょい出来る子だったと思うんだよね?
女の子と男の子違いだろうか?
テーブルの上で宿題を広げる陽斗を横目に風呂掃除に向かった。
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