特別なちから

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特別なちから

ゾーイとして生活を始め、2度目の朝を迎えた日。 「お嬢様、おはようございます。本日は早朝より準備のお手伝いをさせていただきますね」 「えぇ、よろしく」 準備は、まず入浴から始まった。 バスタブに入ると、自分で何かをせずとも使用人の方々がしてくれる。そのことに、初めから戸惑いも抵抗も、まるで感じなかった。むしろ、されて当たり前のような気さえもする。 だけど、堀七海という人格がいなくならないわけではない。元に戻りたくて、わたしはここにいるのだし。複雑な気持ちだ。 「ご入浴中失礼します。お嬢様にご報告しておきたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」 「構わないわ」 許可すると、使用人のうちのひとりがやってきてわたしのすぐ近くで跪き、耳打ちするように話し始めた。
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