特別なちから

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「はい。エドワードさまよりいただいたものを処分するにあたって、1点のみ不可能なものがございました」 「なんですの?」 「こちらのペンダントです」 そう言って入浴中のわたしに見えるように差し出してくれる。 そのペンダントは、パパラチアサファイアがトップになっているものだった。 生前、お年頃だったからたまたま気になって本で見たことはあったけれど、実物を見るのは初めてだ。オレンジがかった赤い石は輝きを放ち、美しくもどこか禍々しい。 「こちらは、王族が代々お妃になられる方へ贈られるものでしたので、処分しかねました」 「わかったわ。ありがとう」 「恐れ入ります」 ていうか、たぶん、これをいちばん持っていたらいけないもののような気がするんだけど。 そもそも、そんな大事なものを、どうして直接贈らないのかしら。堀七海の常識は、ここでは通用しないのはわかっているつもりだったけれど……
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