特別なちから

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サロンの中へ入ると、着飾ったたくさんのひとたちがわたしとエドに挨拶をしようと群がってきた。 「ごきげんよう、エドワード王子さま」 「本日もお美しいです、ゾーイさま」 ご機嫌をうかがっているこの馴れ合いの感じ、堀七海のときに何度も見た光景だ。女子同士って基本そういうところあるよね。 こういう貴族社会みたいなところでもやってるのか。人間の根本的な性質は変わらないってことなのかな。 「ごきげんよう。みんなありがとう。どうやら私のお姫さまは機嫌がよろしくないらしい。今夜は挨拶もそこそこにさせてくれないだろうか?」 「も、申し訳ございません、エドワードさま、ゾーイさま。ではこのあたりで控えさせていただきます」 「……お気遣い、感謝するわ」 エドの言ったことに驚いて、わたしは彼の方をチラッと見た。エドは、仮面を貼り付けたような笑顔をしていた。
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