特別なちから

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「……機嫌が悪いのは、あなたの方ではありませんの? エド」 群がっていたひとたちが去ってから、わたしは彼の顔を見ずにそう言った。 「そうかもしれないね。では教えてくれるかな、どうして私が贈ったドレスを着てくれていないのか」 「あなたの趣味を、わたしに押しつけてくるからよ。まだ正式な関係じゃないのに、まだあなたの色に染まりたくないわ」 「きみの意見を尊重するよ、ゾーイ。まだ婚姻関係を結んでいなかったのに、私が急ぎすぎたようだね」 「お心遣い、感謝いたしますわ」 やばい。 笑顔の仮面が剥がれそう。 扇子みたいな羽のついた扇で、今すぐ顔を隠したい。 妹に続いて兄まで問うてくるか。同じ質問を。 しかも、案外簡単に引き下がるのね。やっぱり、特別な力として聞いたが理由なのかもしれない。
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