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悪役令嬢のお望み
『……お手並み拝見と思って、しばらく見ていたけれど、なかなか苦戦しているのね』
「! だれ……!!」
辺り一面が真っ白な空間になって、それから一部だけが黒っぽくなる。白いもやもやの逆パターンみたいな感じ。夢の中だからなんでもアリのようだ。
『わたしは、あなたに体を預けた……そうね、核の部分とでも言うのかしら』
「ということは……本物のゾーイ?」
『まぁ、そんなところね』
わたしが体を借りているから、その状態なんだそう。
まさか、こんな形で体の持ち主と相対するとは。
「苦戦もなにも……ろくに説明もなしにやること自体、むりがあるよ!」
『説明はしたと伺ったけれど、違いますの?』
「あんな一言、説明なんて言わない!」
『そうは言っても、わたしからも言えることは少ないのよ』
「ねぇ、それならとりあえず教えて。ゾーイ、あなたは何を求めているの?」
『わたしは……エドとの婚約を破棄して、国外追放されたい』
……え????
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