悪役令嬢のお望み

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「待って、どういうこと?」 『あなたも経験したならわかるでしょう、王族が持つ特別な力』 「っ……」 思い出しただけでも鳥肌が立つ。 あんな恐怖は味わったことがなかった。 『王族の、それも一部のひとだけが使える力、ストーキングできる魔法』 「……」 ストーキング。 その言葉を聞いただけでまた背筋がひんやりした。 『わたしの家は、貴族の中でも最も下層の階級だったけれど、わたしがまだ幼かった頃にエドと出会ってしまったことですべてが変わった』 「出会ってしまった?」 『えぇ。お父様の普段の仕事が気になって、こっそり後を追ったあの日は、公式に次期王となるエドを紹介する日だった』 「それで……」 『同じく自分の屋敷内をひとりでうろうろしていたエドと目が合ったの。子どもでもわかったわ、こんなに美しいひとに惹かれないはずがないって。だから、思わず口にしてしまったの、わたしの名前と、階級を』
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