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ゾーイという黒いもやもやは、その後も説明してくれた。
それから、自分の生活が急激に変化していったこと。
家の階級が上がり、王子に見初められたゾーイが婚約者となって、見える景色が変わってしまったことを。
『初めは、鼻が高かったわ。まさかあの美しい王子の婚約者になれるなんて思ってもいなかったから。お父様もうれしそうにしていたし、問題なんて何もないと思っていた。でも違ったの。わたしには問題しかなかった』
「そのことは、いつわかったの?」
『あなたがわたしの体に入ってくれるつい一週間ほど前かしらね』
時間の経過は多少の誤差があるから、堀七海の感覚では測れないけれど……
そんなに最近まで、知らなかったなんて。
まぁ、幼ければ、知れない事実も多いだろう。
「って、ことは、ゾーイがわたしをここに呼び出したの?」
『間違いはないでしょうけれど、あなたは一度死んで、でもまだ寿命があるから選ばれたのでしょう?』
「選ばれた?」
『わたしは、禁断と言われている黒魔法を使って、自分の魂を担保に別世界から死期が近い人間の魂を召喚したつもりだったのだけれど』
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