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『仕方ない。物わかりの悪いきみに、順を追って説明してあげよう』
そうして、その白っぽいやつが話してくれたのは次のことだった。
これは、死に際に見る悪夢で、そのひとに与えられた規定寿命に達しなかったひとだけが見られるものなんだとか。
つまり、わたしはまだ死ぬには少し早すぎたということみたい。
そして、生き返りたい場合には、この悪夢を最後まで見る必要がある。転生に近い現象らしいけれど、元に戻れるという点で大きく異なる。
さらに条件をクリアすると、わたしの望むこと……大金を得て高校生活を送ることが叶うといった。
悪夢を見るも見ないも、最後まで見るも途中リタイヤするも、すべての選択権はわたしに与えられている。
『どうする?』
「そんなの、もちろん見るに決まってるよ! 最後までね!」
わたしの不注意で死ぬならともかく、愚兄のかかえた借金の返済ができなくて一家心中という巻き添えをくらうなんて、まっぴらだもの。
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