運命は何のみぞ知る

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運命は何のみぞ知る

国王陛下と対面するための装いは、ダンスパーティーの時以上に気合いを入れた。 ご令嬢という立場のひとは、実に大変である。 あぁ、早く庶民に戻りたい。 権力者とのしがらみから解放されたい。 王子さまに見初められた立場の令嬢が、こんなに羨ましくないと思うようになるとは予想できなかった。恐怖と愛情はきっと紙一重だ。 「お嬢様、本日もお綺麗です」 「……ありがとう。あなたたちのおかげね」 「そんなことはございません。お嬢様の素質がすばらしいからです」 「いいえ。わたしのポテンシャルだけではどうにもならないところもあるわ。あなたたちがいてくれるから、わたしはそのままでいられるのよ。いつも、ありがとう」 「お嬢様……痛み入ります」 お世辞ではなく、これは本心だ。 きっと、ゾーイ本人もこう思っているに違いない。 もう残りわずかと思われるこの生活に、わたしは後悔のないよう気持ちを伝えた。
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