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"ナイトメア"の才女
はっと目が覚めたときにいた場所は、広いのに狭く感じるような空間だった。
「……おはようございます、お嬢様」
お嬢様?
どこからともなく声が聞こえてくる。
「……どうかされました?」
わたしは寝転がったまましばらく様子を窺っていると、わたしの顔を覗き込むように、黒服に身を包んだ女性が声をかけてきた。
「……っ!!」
「驚かせてしまって申し訳ありません」
「いや、べつに……って、もしかして、お嬢様ってわたしのこと?」
「はい、もちろんです、お嬢様。おはようございます」
にこやかに挨拶してくれるので、わたしもつられて顔を引きつりながらもおはようと返す。
「今朝はお目覚めがあまりよろしくないようですね。本日のご予定はいかがいたしますか?」
「ん?」
目覚めがよくないのは悪夢のせいだから仕方ないけど、予定が入っていることを知らないのは困った。
「お忘れですか? エドワード王子と、お茶会のご予定がございます」
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